工事基本情報

掛川市 某県道歩道橋修繕工事

使用材料鉄部:弱溶剤系フッ素樹脂塗料塗仕上げ
橋面:樹脂モルタル舗装
構造、屋根や外壁のタイプ鋼製歩道橋
施工期間2024年9月~2025年2月(約6ヶ月間)
築年数1964年(築61年)

施工のポイント

今回ご紹介するのは県道に架かる歩道橋の修繕工事です。
以前、河川に架かる橋梁の修繕をご紹介しましたが、河川に架かる橋梁の他にも道路を跨ぐ歩道橋なども定期的なメンテナンスを必要とします。
高速道路や国道などの大きな道路の橋ではなく、人や自転車等を通すための歩道橋も近隣の方々にとっては欠かせない重要な生活道路です。

施工前
施工前 近隣の方にとって重要な生活道路

工事をするための準備

このような道路の上に掛かる橋の場合、工事のために仮設の足場を設置します。


仮設の足場を設置すると通常の橋の高さよりも少し低くなるため、大きい車や高さのある車に対して注意喚起が必要です。
また、橋や道路の所有者の方に事前に設置する許可をもらう必要があります。工事をすれば良いわけではなく、工事をするために様々な手続きを必要とします。
新しい住宅の建築や建物の修繕などもこうした手続きを所有者の方に代わって行うこともあります。
街で工事を見かけた際に、看板だけ出ていたり、期間が長いのはこうした手続きや準備をするための期間が設けられているためです。
もちろん住宅の塗装工事や一部分の防水工事などでも近隣の方に臭いや音でご不便をかける可能性がある時は、事前に挨拶を行うことでスムーズな工事着手に努めています。

鉄鋼面の塗替え

工事の内容としては、以前ご紹介した「橋梁工事」と同様に、歩道橋の鉄鋼面の塗替えを行いました。
既存の塗装をブラストによって剥がして鉄鋼面を露出させた後、ジンクリッチと呼ばれる塗料を塗布します。
住宅などの塗替えではなかなか馴染みのない塗料ですが、塗料の成分の中に「亜鉛」を含んでおり、鉄よりも錆びやすい成分です。
聞くだけだと、より錆が発生しやすくなってしまうのでは?と感じてしまいますが、あえて鉄よりも錆びやすい金属を使うことで、塗装が劣化して本体である鉄鋼面が錆びる前に、先に犠牲になり、なることで本体が錆び始めるのを遅らせる「犠牲防食」と呼ばれる機能を持っています。
重さも厚みもある普段は見かけない特殊な塗料の一種です。

ジンクリッチが完了した後は、錆を防止する「錆止め」、色の透けや密着を上げる「中塗」、最終的な外面を構成する「上塗」の塗装を行って完成です。
こうした工程の合間に塗装表面が目粗視され、清掃されているか、塗装中の外気の温湿度が作業をしても良い状態になっているかなど、いくつかの条件をライセンスを持った当社の社員が管理し、このような方法で完成品の品質が十分かつ美観を保てるよう工事しています。

また、塗装工事の他、歩道橋の橋面の舗装工事も併せて行いました。
既存の舗装面を一度剥がして橋面を露出させ、錆止めと付着性を良くする「防錆プライマー」を塗布していきます。
ここまでは通常の塗装工事と似た部分が多いと思います。

1. ブラスト
既存の塗装をブラストによって剥がして鉄鋼面を露出させる。
2. ジンクリッチ
ジンクリッチと呼ばれる塗料を塗布します。
3. 下塗1回目
錆を防止する「錆止め」効果があります。
4. 下塗2回目
下塗を2回繰り返します。
5. 中塗
色の透けや密着を上げる「中塗」を塗布します。
6. 上塗
最終的な外面を構成します。

樹脂モルタルによる舗装

いよいよ樹脂モルタルによる舗装となりますが、そもそも樹脂モルタルとは何かご存知ですか?
通常のモルタルは「砂・セメント・水」によって構成されていて、セメントが水と反応して硬化する建築材料です。
樹脂モルタルはさまざまな種類がありますが、この「セメント・水」の部分が樹脂に置き換わって、様々な性能を持つ建築材料です。今回は無溶剤形の耐摩耗性のある樹脂を使用しました。

歩道橋ですので、歩いてすり減りにくく、既存と同系色の樹脂で色分けされた舗装をしました。
先に塗装した防錆プライマーの上に樹脂のみで構成された「タックコート」を塗布し、硬化する前に砂と混ぜた樹脂モルタルを舗装していきます。
道路工事でよく見かけるアスファルトを熱して溶かしたものをローラーでならす方法とは異なり、コテを使って人の手で滑らかに仕上げていきます。


以前の舗装を撤去した後と比べると表面が綺麗になったと思います。名目は舗装ですが、こうした工事も塗装工事の一種です。

7. 舗装撤去
まず、舗装撤去します。
8. 舗装撤去完了
舗装部分がすべて撤去できました。
9. 防錆プライマー
「錆止め」効果があるプライマーを塗布します。
10. タックコート
樹脂のみで構成された「タックコート」を塗布します。
11. 樹脂モルタル舗装
「タックコート」が硬化する前に、砂と混ぜた樹脂モルタルを舗装していきます。
12. 完成
アスファルトを熱して溶かしたものをローラーでならす方法とは異なり、コテを使って人の手で滑らかに仕上げました。

工事を終えて

約半年間にわたる歩道橋の工事もこうして完成いたしました。
施工前と比較すると、かなりきれいになったのではないでしょうか?


工事期間中は通行止めや片側交互通行など、近隣の方々には多大なるご協力をいただきました。
もし皆様の周りで工事をさせていただく機会がありましたら、温かい目で見守っていただければ幸いです。
工事の仕上がりや品質ももちろんですが、工事中の気になることや相談したいことがあれば、ぜひお申し付けください。

施工完了

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